子ども主体の学校を考えませんか?

横浜創英の本間朋弘校長の思いをご紹介させていただきます。

今の入学式、卒業式、学校運営は本当に子どもたちのためのものになっているでしょうか?

いま一度1つ1つ考えてみてもいいと思います。

〖横浜創英の新しい入学式〗

4月9日午前に横浜創英高校、午後に横浜創英中学校の入学式が行われました。学校運営を生徒に移譲するという最上位目標に沿って、今回はじめて入学式の運営を生徒会に任せました。

学校の主人公は、校長でも教師でもありません。ましてや現場から遠く離れている教育委員会でもないし、学校法人でもありません。学校の主人公は生徒です。

私は人と人との橋渡しに「信ずる」という言葉が不可欠であると思っています。相手が自分を信じてくれるから、自分も相手のために動こうと思う。相手のために生きようと思う。そうした気持ちがにじみ出る穏やかな環境が学校の現場には求められています。

横浜創英の生徒は私たち教師を信じて豊かな学校生活を送っています。私たち教師も生徒を真に信じています。教師側が生徒会に入学式の運営を任せることができたのは、生徒を信じているゆえのことです。

生徒が式の司会を務め、穏やかな雰囲気を作ってくれました。オープニングの吹奏楽部の演奏は、新入生を迎えるにふさわしいものでした。生徒会が式の中で学校紹介や校歌紹介を行い、式を豊かなものにしてくれました。式典中に形式的な「礼」は一度もなく、国歌斉唱の時を除いて「起立」の号令も入れませんでした。私の式辞のあとに拍手が鳴ったのも、私の話の中身によるものでなく、生徒たちが作ってくれた穏やかな雰囲気のお陰だと思っています。

当日の式は、私は下から壇上に上がる厳格さを遠慮して、舞台の袖から演壇に出ていきましたので、控えている時は生徒たちと一緒に時を過ごすことができたのです。緊張にあっても自分たちへの期待感を楽しんでいる生徒の雰囲気はとても微笑ましかった。あわせて、誘導、案内の仕事を担ってくれた有志の生徒たちにも感謝をしたいと思います。

生徒会長は自分の言葉で、以下のように語り、感動を与えてくれました。

「横浜創英では数多くのことにチャレンジできます。その先にある喜びや悔しさを思う存分味わい尽くすこと、それを私は青春と呼ぶのではないかと思います。自分の思う最高の青春を横浜創英で築いてほしいと、私は心の底から願っています」。

私は、この1か月、保護者の方々とお話をさせていただく機会が多く、「子に幸せな学校生活を送ってほしい」という親の願いを強く感じています。学校が生徒の今にとってかけがえのない時間となり、学校が生徒の未来に向けた道標になるよう、保護者の方々と同じ方向を向いて進んでいくことを、入学式の節目に改めて自分に言い聞かせています。

(4月9日 高校入学式 学校長式辞 一部抜粋)

私は今年で63の歳になりましたが、入学式の記憶がほとんどありません。小学校の入学式は母親と自宅前で撮った写真が残っているので出席はしたのだろうと思います。中学校の入学式は全く記憶がない。高校はあえて行かなかったし、大学は寝坊して式に間に合いませんでした。

こんな調子ですから覚えていないのは当たり前なのですが、でも、高校の入学の時に自分に言い聞かせたことはしっかりと覚えています。高校に入る前は病に伏したこともあって、私はあまり穏やかな気持ちではありませんでした。

その時こう自分に言い聞かせた。「昨日は終わったから過去はもう関係ないでしょう。その一方で未来はまだ来ていないのだから、今の自分にあるのは今日だけでしょ。とりあえず一歩前に踏み出してみようか」って自分に約束したのです。

よく人は「迷っています。悩んでいます」というが、都合のいい言葉だなあと思います。だって「迷っている。悩んでいる」と言えば、一歩踏み出さなくていいので。人間どんなに迷って悩んで決めたことでも、決めたこととやめたことの差は大した差ではありませんよ。おそらく51%と49%程度の差です。大事なことは、決めてとりあえず一歩前に踏み出してみることです。

私の人生は失敗だらけでした。中学校二年生の時に病にかかり中学校三年生の一年間は不遇だった。でも、病気にかかったことが失敗なのではなく、病気にかかった自分と向き合わなかったことが失敗でした。

そもそも人が逆境を越えられないのは、逆境の大きさや厳しさではありません。逆境を越えられないのは、自分が逆境と向き合わないからです。なぜこうなってしまったのか、過去を憂うことに力を使い、これからどうなるのだろう、未来を憂うことに力を使ってしまう。

失敗したからと言って、それは大したことではありません。失敗から学んでまた挑戦すればいい。雨のあとに虹が出ると人々は必ず立ち止まって虹を眺めます。少し前に雨が降っていたことを忘れている。きれいな虹を見たけりゃ、その前のちょっとの雨は我慢できます。

人は失敗した時が終わりなのではありません。夢を持つことをあきらめ、努力することをやめた時が終わり。そもそも大人は社会の中で失敗することで多くのことを学んでいます。学校だけが失敗することを許さないのはおかしい。

今日というリセットの日に新たな夢や新たな目標に向けて一歩踏み出してみませんか。人は人生のすべてを一瞬で変えることはできませんが、人生の方向性は一瞬で変えることができます。

親が子の可能性を信じるように、学校も生徒の夢や希望や芽を摘むことなく,生徒の可能性を信じていきたいと思います。

人生というのは、自分が描く景色の大きさに比例します。小さい景色しか描けない人はその範囲内の人生しか歩めない。人生で描く景色はできるだけ大きい方がいい。生徒の皆さんが人生の大きな景色を描く土台を築くこと、そのことが私たち横浜創英の大きな仕事だと思っています。

使命と書いて命を使うと書きます。私の人生でも最後の大きな仕事となります。やり遂げることをお約束します。

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