有機の里 大分県臼杵市へ視察に行ってきました!
(匝瑳市の市税は使っていません。笑)
臼杵市は、291㎢(匝瑳市101㎢)、人口34,155人(匝瑳市33,920人) ※R5.10.1現在。
城下町の面影が残り、産業は農業や漁業をはじめ、醤油、味噌、お酒を中心とする醸造業や造船業が盛んなまちです。
発酵・醸造と質素倹約の中で知恵を絞って生まれた郷土料理を守り継いできました。大切に培ってきた伝統に加え、有機農業や地産地消を推進することで循環型の食文化を目指しています。
さまざまな取り組みが評価され、ユネスコ食文化創造都市に認定。他に日本で認定を受けたのは、山形県鶴岡市のみ。
行政としては、2005年頃から有機農業を推進しており、2010年に有機農業推進室を設置し、有機農業の推進を強化してきました。
臼杵市の取り組みの大きな特徴としては、
1、行政で土づくりセンターを作った!
農産物の生産は健全な土づくりから。
ミネラルを豊富に含み、より自然に近い良質な完熟堆肥で土壌微生物の働きを促します。
化学肥料や農薬に頼らない持続可能な生産をしていくため、土づくりにより農産物本来の成分と味を実現。
草木類8割、豚糞2割。
それを「うすき夢堆肥」として販売しています。
市の財政で言ったら、完全に赤字だそうです。
ですが、以前は燃やすのに費用がかかっていたことと、臼杵の資源を臼杵の大地に還すことで臼杵の環境が豊かになり、農家の経営が楽になるなら結果としてマイナスではない。意義のあることとして自信を持っているそうです。
2、臼杵市独自の「ほんまもん農産物」認証制度
臼杵市独自の認証制度で、審査は有機JAS認証機関に依頼していおり、有機JASと同等に近い高い水準となっています。
認証にかかるお金を市が負担し、認証をとるハードルをグンと下げました。
ほんまもん農産物 2011年10戸 ⇨ 2022年54戸 (農家民宿で持っている家庭菜園サイズも含まれる)
有機農業生産法人 2011年2社 ⇨ 2022年6社
3、地域おこし協力隊で有機農家志望の人材を呼び込み、有機農業での就農をサポート
2016年 2名
2017年 1名
2018年 3名
2019年 1名
2020年 3名
2021年 1名
2022年 2名
地域おこし協力隊の制度を活用し、どんどん有機農業での就農者を呼び込み、しっかりと研修制度でバックアップしてきました。
有機JAS認証取得を目指す新規就農者へ奨励金を交付
10万円/10a (3年間)
他にも、市民の理解を深めるため、「うすきオーガニック映画祭」の開催、食農教育の推進、「ほんまもん農産物」や「臼杵ん地魚」を使った加工品開発の支援、「100年ごはん」というドキュメンタリー映画の制作。
臼杵ブランド「うすきの地もの」認定制度‥農山漁村の感性を大切にしたもの。添加物を使わず食べる人の健康につながるもの。
学校給食、保育園の給食にも積極的に「ほんまもん農産物」を使用し、年間300万円を市の財政から補填しています。とにかく質を保持することが大事だという考えです。
給食数は2800食。現在は2つの場所で作られていますが、今後1箇所になる予定。匝瑳市とほぼ同じ状況。
臼杵市は早くから取り組みをはじめ、着実に成果を上げてきました。
これだけ積極的に推進してきた背景には、農業、漁業、醸造業などの産業が栄えてきた臼杵の人たちにとって、「水」を守ることの大切さが染みついていることが根底にあるとのことです。
そして、無農薬無化学肥料、完全堆肥による循環農法、「ニンジンから宇宙へ」で知られる赤峰勝人さんの存在。
赤峰さんのニンジンを食べた当時の市長が、その味に感動し、市民にこの味の野菜を食べてもらいたい!という思いが芽生えたそうです。
さらに、元々有機農業への思いがあった職員が実行部隊として、精力的に政策を進めてきました。
市民の活動も活発に!
土から食卓へ。新しい価値をつくる百姓ニュースタンダード朝市「ひゃくすた」。
2017年〜 月1で開催してきたファーマーズマーケットです。
農家の負担にならないよう朝の3時間だけの開催。フレックス制を取り入れ、遅れてきたり、早抜けもOK。
出店テントの裏には軽トラが並び、準備にかける労力も最小限に。
「ほんまもん農産物」を中心に安心な食材を扱うことが基準としてあります。
対面販売によって、生産者と消費者お互いが顔の見えるやりとりは、農家のモチベーションにも繋がります。買い手はどう調理したら美味しいか聞けるのも嬉しい。
細かいことを書きはじめたら、書ききれないほど、今回の視察でたくさんの感動や驚きがあり、もの凄い勢いで動いている臼杵市ですが、そこには行政も市民も思いのある1人1人が行動に移し、小さな1つ1つの積み重ねが今の大きな成果につながったのだと思います。そのうねりに引き寄せられるように、外からも人が集い、また勢いを増して大きなうねりになっていく。
自分たちとこれからの子どもたちが、いつまでも誇りを持って暮らし続けられるように、自分たちが住んでいる自然と受け継がれてきた文化を大切にしようと、みんなが自分に出来ることと向き合っている姿は、とてもかっこよく、清々しかったです。