令和の日本型学校教育と言われる学習指導要領が示す主体的・対話的で深い学び、協働的な学び、個別最適な学びなどが出てきた背景には、これまでの日本の教育の課題をクリアするためであったり、これからの世の中に必要なものとして、中央教育審議会など、教育の分野の専門家の話合いの中で生まれたものと認識しています。
私もこれからの時代の学びとしてとても大切な要素が盛り込まれており、賛同していますが、重要なキーワードが出てきた背景、なぜ主体的な学びなのか、なぜ対話的な学びなのか、なぜ協働的な学びなのか、なぜ個別最適な学びなのか、この背景を匝瑳市教育委員会としてはどのように認識しているでしょうか。また、学びを変える意味について伺います。
これから世の中は人口減少、グローバル化、地球規模課題、生成AIの加速度的な進展などで目まぐるしく変わっていきます。この先どうなるのか予測ができません。子どもたちには誰も経験したことがない世界が待っています。分かっているのは、変わり続ける時代であるということです。私たち大人は全てを子どもに教えることはもうできません。ですから、子どもたちがどんな未来に出会ったとしても自分の力で、あるいは自分たちの力で新しいことを学んで切り開いていくしかありません。学び続ける力、自ら学ぶ力があったら変わっていく社会に受け身で飲み込まれることなく、時代の波に乗っていけます。
次期学習指導要領の改訂に向けて、既に中央教育審議会では議論が始まっていますが、次期改訂前に、今の学習指導要領の指針となっている本質的な部分をしっかりと現場に落とし込み、時代に合った新しい学びに変えていく必要があると考えますが、匝瑳市教育委員会としてはどのように捉えているでしょうか?
【登壇に対する回答】
まず、主体的・対話的で深い学び、協働的な学び、個別最適な学びが重視されるようになった背景をどのように認識しているかとのお尋ねにお答えさせていただきます。
これらの視点や取組は、急激な少子高齢化の進行、変化が激しく、先行きが不透明で予測困難な社会の到来を背景として、平成29年7月に公表された現行の学習指導要領及び令和3年1月に公表された中央教育審議会答申の中で示されました。
この学習指導要領や答申の中では、一人一人の児童生徒が自分のよさや可能性を認識するとともに、様々な変化に積極的に向き合い、他者と協働して課題を解決していくこと、生涯にわたって能動的に学び続けることなどが求められております。したがって、これらの課題を解決するため、これまでの学校教育の蓄積を生かし、学習の質を一層高める授業改善を推進するための視点や取組として示されたものと認識しております。
次に、学習指導要領の本質的な部分をしっかりと現場に落とし込み、時代に合った新しい学びに変えていく必要性についてどのように捉えているかとのお尋ねについてお答えさせていただきます。
市教育委員会といたしましても学習指導要領の確実な実施とともに、児童生徒の実態や時代の要請に沿った学びを実現していくことは当然必要であると認識しております。市教育委員会では、学習指導要領及び千葉県教育振興基本計画に基づき作成された北総教育指導の指針に準じ、匝瑳市学校教育指導の指針を毎年度見直し、各学校に対して重点目標及び努力事項を示すとともに、学校訪問の機会等を生かし、指導、助言に努めておるところでございます。
例えば、議員御指摘の視点や取組については、市教育委員会の指針において、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を通して何ができるようになるかを明確にし、どのように学ぶのかを重要視して、主体的・対話的で深い学びの実現を目指す事業改善に取り組むと明記しております。
各学校においては、これらを受け、児童の心身の発達の段階や特性及び学校や地域の実態を十分考慮して、校長が責任者となって教育課程を編成し、教育活動に取り組んでおるところでございます。
【再質問】
1、御答弁の中で、何ができるようになるかを明確にし、どのように学ぶかを重要視しているとのことで、一昔前のただひたすらに先生の話を聞いて覚えていく授業の時代からは移り変わっているところだと思います。
匝瑳市の学校では、自由進度学習とまではいかないまでも、1時限の間、ずっと先生の板書をひたすら書き写して、ひたすら覚えていくような、一律一斉授業というような状態も減ってきていると思うんですけれども、授業内容としてはどのような状況になっていますでしょうか?
【回答】現在の匝瑳市における一般的な授業の流れは、千葉県教育委員会が示す「思考し、表現する力」を高める実践モデルプログラムを積極的に取り入れたものになっております。
この実践モデルプログラムは、現行の学習指導要領で求められる資質能力を育むための授業改善を行うための参考として示されたモデルであり、4つの学習過程を意識して授業を行うものです。
具体的には、児童生徒一人一人が疑問を持ち、課題を明確にする「見いだす」過程、一人一人が解決の見通しを持ち、自分の考えを形成していく「自分で取り組む」過程、友達と互いに学び合い、新たな考えに気づく「広げ深める」過程、思考の過程を振り返り、新たな疑問を持つ「まとめあげる」過程で、授業を構成していきます。
1時間の流れの中で、こうした過程を全て扱う授業もあれば、十数時間のまとまりある単元全体を通してより自由に時間を設定して行う授業もあるなど、児童生徒の実態や学習内容に応じて、工夫した授業実践がなされていると承知しております。
2、
例えば、とても研究熱心な先生のこれはいいねという授業があったときに、ほかの先生も自分なりの考えの下、授業を行っている中で、押しつけて無理やりやらせるような時代ではありませんので、やれやれとはできません。かといって、全てお好きにどうぞということでもないと思いますが、いい事例をどう広げていくのか、どのように取り組まれているでしょうか?
【回答】
まず、校内においては、OJTの視点から互いの授業を見合うなど、日常的な学び合いが行われております。各学校では、週1回の校内研修が位置づけられており、1つの授業をグループで練り上げ、授業実践し、互いに見合って成果と課題について話し合うなど、授業研究が盛んに行われており、こうした研修を通じて、様々な取組事例が共有されております。また、こうした校内の授業研究が他校に公開されることもあり、今年度は若手教員で互いに授業を見合う場を設けるなど、各学校のよい実践を校外へも広げようという取組が学校現場を中心に行われております。また、市では、各学校でつくられた優れた指導案や教育実践をDX化し、誰でも自由に活用できるようになっております。
3、今、先生の働き方改革が進められているところだと認識していますが、先生方が授業改善や目の前の子どもに注力するためにも先生がやらなくてもいい業務はどんどん減らしていくべきだと考えます。
そこで伺います。
これは先生がやらなくていいよねという意見、アイデアを現場から教育委員会に吸い上げる仕組みができているでしょうか。あるいは、雰囲気含め、言いやすい雰囲気になっているのか。各学校で行われている先生の負担を減らすいい事例を積極的に共有できるようになっているでしょうか?
【回答】匝瑳市教育委員会では、年間3回、市内幼・小・中学校の教頭先生方を集め、モラールアップ匝瑳という研修会を開催しております。この研修会では、働き方改革についても研修内容に含めており、例年、各学校の優れた事例を共有し、各学校、幼稚園での実践に生かしております。例えば、昨年度は、ICTを活用した公務のDX化をテーマに意見交換を行いました。また、定期的に開かれる校長会議でも働き方改革の推進に向けて取組を依頼し、よい実践について情報共有しております。
市教育委員会といたしましても学校訪問の機会等を生かし、各学校の働き方改革の推進状況について把握に努めたり、学校からの業務改善に向けての提案を受けて対応したりするなど、学校と協力して働き方改革の推進に努めております。
4、先生方が教師という仕事の本丸中の本丸の部分に集中し、学びに苦しさがある子どもがいれば、どれだけ救えるかというのも一つの使命だと思うんです。そして、教師という仕事の喜びであるかとも思います。子どもたち、あの子たちを誰一人として取り残してはいけない、そういう意気込みで、学びの改革とともに先生たちが最大限力を注げるように、やらなくてもいい業務を減らしていく、やれることは全部やるくらいのつもりで取り組んでいただきますようよろしくお願いいたします。
それから、文科省や教職員支援機構NITSでも教師の学びの姿も子どもたちの学びの相似形、似た形ですね、であると言えるというようなことを言っています。つまり子どもたちの学びの転換とともに教師自身の学びの転換を図る必要があると。個別最適な学び、協働的な学びの充実を通じて、主体的・対話的で深い学びを実現することは、児童生徒の学びのみならず、教師の学びにも求められますが、匝瑳市の教師の学び、研修はどのような形態になっていますでしょうか?
【回答】現在、全国の教職員は、研修受講履歴管理システム、通称Plantを活用し、任命権者、本市の場合でいえば千葉県が定めた教員育成指標を踏まえ、一人一人がこれまで行った研修履歴に基づき、今後受講すべき研修を主体的に計画し、取り組んでいける環境が整っております。こうした環境を活用し、匝瑳市の教職員は個別に最適な校外研修を選択し、受講することとなります。
また、先ほども答弁いたしましたとおり、匝瑳市の各学校では、週1回の校内研修が位置づけられており、それぞれの主体性に応じた研修や学校として共通の課題に対応するための共同的な研修を実施しております。さらに、こうした公式な研修のほかにも各教職員が自分で時間をつくり、授業実践や生徒指導、学級経営など、各自の課題意識に基づき、個人的に研修を行っているものと承知しております。
5、前回の議会でも取り上げさせていただいたんですけれども、もう一つ、石川県の加賀市も非常に注目されています。先進校をつくっても広がっていかないということが分かっていましたので、全校でせいので、もう一斉に学びを変えることに取り組んだそうです。オール加賀で、教育委員会だけでなく、学校、先生、市長、市民、オール加賀でやったんです。それで、今、北海道から沖縄まで全国から視察が来るようになっているそうです。
授業風景としては、自由進度学習のような感じになっているんですけれども、手段を目的化してはならないと言われるように、加賀市は自由進度学習をやりましょうとか、新しい学びへ転換するためのガイドラインはつくらないようにしたんです。ガイドラインをつくってしまうと、先生の授業をつくる上での創造性などが失われてしまうということが分かっていたからなんですね。
核となる大事な部分をしっかりと共有しつつ、これまでの与える学びから委ねる学びに転換しました。先生も失敗大歓迎という形で、とにかく主体的にチャレンジしてもらった結果、子どもたちがもう学びに没頭するようになったそうなんです。最初は自由進度学習を敬遠していたベテランの先生からも、もう一律一斉授業には戻れないという言葉が出るほど、すごい、何だこれはという世界が広がるようになったわけです。
現在、匝瑳市では、子どもたちの状況を見ながら各先生方が授業改善に取り組んでいるところだと思うんですけれども、一度こういった先進校ではなく、自治体丸ごと改革に取り組んだ事例を教育委員会の方が見ておくことが大事だと考えますが、いかがでしょうか。
制限時間となり、打ち切り。