【登壇質問】
建設費の高騰で、今、至るところで大変厳しい状況であるというのを耳にします。最近の報道では、病院施設ではありませんが、山武郡市環境衛生組合が計画する新ごみ処理施設整備の概算事業費が去年2月時点の見積額から約140億円増え、約419億円に増加することが判明したということが報じられました。どこもかしこも世の中が非常に厳しい状況であります。
匝瑳市においては、今、新病院建設に向けて動いているところであります。その中で気になるところは、市の負担額です。
他の議員の答弁の中で、建替整備基本計画で見込んでいる地方債の元利償還金の交付税措置を除いた実負担額は、30年間の償還期間を平均すると年間1億5,000万円を見込んでいるとありました。さらに、仮に工事費が高騰した場合は、実負担額は年間2億2,000万円というシミュレーションも示されました。
計画どおりの1億5,000万円だとしても30年間にわたり毎年1億5,000万円を支払い続けるのは、今の匝瑳市の財政状況を見ると、大変大きな負担になります。しかもその額は、建設費高騰により今後増えるかもしれません。病院事業だけでなく、全体的な物価や人件費が上がっている中、本当にこの先、払い続けることができるのかとても心配です。
様々な努力により、毎年1億5,000万円払うことができるかもしれません。ですが、消防庁舎建て替えなど、ほかにも大型事業が控えています。果たして、その費用が賄えるのか。さらなる努力により、その費用も頑張って捻出できるかもしれません。ですが、例えば、今後、何か市にとって必要な事業やよい取組が出てきたとしても、新たな取組は、財政面で、この先、実行するのが難しくなります。
市民病院は当然あったほうがいいです。ですが、市民の方からも、そこまで財政を逼迫させてまで建てなければいけないのかという心配する声をいただきます。しかも、若い世代のことを考えると、新病院には小児科、産婦人科もないわけです。
既に、関係各位の皆様の御尽力されている中で大変恐縮でありますが、例えば、病院を建てずに市内の九十九里ホーム病院や周辺自治体の病院を頼り、代わりに移動などのサポートを手厚くしたり、あるいは建てるにしても、ある程度、財源のめどが立ってからなど、今世の中の情勢が変化し、財源確保も厳しい状況においては、あらゆる可能性を模索、検討することも必要なのではないでしょうか。伺います。あわせて、元利償還金の負担額の現在の見込みをお聞かせください。
【回答】
「市長」:物価高騰と新病院建設についてのお尋ねでございますが、市民病院の建て替え整備については、様々な御意見があることを私といたしましても真摯に受け止めております。
病院という公共インフラは、今、病気の人のためだけのものではありません。突然の事故や重い病気に直面したとき、あるいは災害時や感染症の流行時など、誰もがひとしく安心して医療を受けられる体制を整えておくことこそが地域社会のセーフティーネットとして極めて重要であると考えております。
本市では、少子高齢化が進んでおり、特に高齢者向けの医療が増加しております。今後の医療需要の変化、将来の災害リスクを見据えたとき、今ここで必要な投資を行うことが将来の世代への責任だと私は考えております。
また、地域医療の充実は、単に病気を治すだけでなく、町全体の暮らしやすさ、住み続けたい地域としての価値にも直結します。若い世代が安心して子育てできる環境、高齢者が住み慣れた場所で引き続き暮らすことができる環境をつくるためにも老朽化した市民病院を建て替え整備し、市民の皆様により安全で質の高い医療サービスを提供するため、今後も御理解と御支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
「病院事業管理者」
市民病院は長年にわたり地域医療を支え続けてまいりましたが、現病院の建物は、建築から50年以上経過し、医療機能、衛生環境など、多くの面で問題を抱えております。現在の病院の建物は耐震基準を満たしていない部分が多く、万一、大災害が起これば、患者さんと職員の命に関わる懸念があります。加えて、医療従事者の働く環境にも改善が必要です。老朽化した施設では、医師や看護婦、スタッフが働きにくい点が多々ありまして、その結果として医療の質にも影響を与えかねません。新病院が建設されれば、最新の医療設備だけでなく、医療従事者の働く環境も改善され、より高いレベルの医療を提供することができるようになります。また、少子高齢化に伴い、高齢者に特化した医療やリハビリテーション、慢性疾患の管理など、多岐にわたる医療サービスが必要となっています。新病院では、これらのニーズに対応した設備を備え、患者さん一人一人に対応して、よりきめ細やかなケアを提供することができます。
今後も地域包括ケアを推進し、引き続き地域医療を守っていくためには、この病院の建て替えが不可欠であると確信をしております。市民の皆様にとって、より安全で質の高い医療を提供できる施設が必要です。どうか私たちの取組に御理解と御支援を賜りますよう、切にお願い申し上げます。
「市民病院事務局長」
私からは、国保匝瑳市民病院建て替え整備に係る企業債等の元利償還金の返済についてお答えします。
国保匝瑳市民病院建替整備基本構想・基本計画でお示しした概算事業費は76億2,334万円でございます。この事業費に係る起債は52億4,900万円となりまして、元利償還金については、総額72億円程度になると見込んでおります。仮に30年間で償還する場合には、毎年2億4,000万円程度の負担が必要になります。ただし、元利償還金の約38%が地方交付税措置される見込みですので、元利償還金の実質負担額は毎年1億5,000万円程度になるものと見込んでおります。
なお、基本設計業務の受注者を選定する公開プロポーザルにおいて選定された事業者が提示した実際の基本設計業務に入る前の参考として示された建設工事費は66億2,200万円で、基本計画で想定していた建設工事費を8億200万円上回っております。このとおりに建設工事費が増額となった場合の起債については、建設工事費の増額分と同額増えて60億5,100万円となります。元利償還金については、総額83億円程度になると見込んでおりまして、仮に30年間で償還する場合には、毎年2億7,700万円程度の負担が必要になり、地方交付税措置後の実質負担額は毎年1億7,000万円程度になるものと見込んでおります。
【再質問】
医療や病院について、必要性について、宮内市長、そして菊地病院事業管理者からの御説明、熱い思いをしっかりと受け止めさせていただきました。
私も正直、このタイミングでこういった内容を議会で質問するのは迷いました。もしかしたら取り上げるべきではなかったのかもしれません。ですが、市民には一定数、こういった考えの方もいらっしゃいまして、市民の声を届けるのも私の務めですので、迷いながらも取り上げさせていただきました。様々な意見を乗り越えて、最善の道を進んでいってほしいという思いでいます。
それで、菊地先生がせっかくいらっしゃるのでお伺いしたいんですけれども、すみません、菊地先生は市民病院の管理者なので、可能な範囲でお答え願えればと思うんですけれども、市内の開業医の高齢化が進んでいるというのを聞くんですけれども、市内の開業医の方は、後継ぎがいない場合、閉院していくことになろうかと思うんですが、地域の医療の将来的な課題であったり、医師の減少ですとか、この地域の医療がこの先どうなっていくのか、予測されていることがありましたらお聞かせいただけますでしょうか。
答:開業医との関連で課題となるのは、現在、行っております休日の救急当番医制があると思います。私は、医師会の救急担当理事をしておりますので、この辺でちょっと頭を悩めているところではあります。
議員おっしゃったように、後継者がいなくて閉院が予想される医院も幾つかあります。それも現実です。さらに、既に高齢を理由に救急当番医を外れているドクターもおります。そういうことがありますので、現在、行っている休日一次救急当番医体制、これを維持するのは、近い将来、難しくなるんではないかというふうに考えているところです。
また、2次救急を担う病院、当院と東陽病院なんですけれども、働き方改革で宿直が週1回以内、それから日直が月1回以内という制限があります。そのため、現行でいる医師の数だけでは、これを切り回すことが難しいので、千葉大の臓器制御外科から応援を出してもらってやりくりをしているのが現状です。
しかしながら、大学のほうでもまたいろんな問題が出てきていまして、新医師臨床研修制度以降、外科医志望者が激減をしているんですね。私が医師になった頃は、うちの外科に入局するのがもう10名前後、多いと十七、八人もいたんです。ところが、来年度、入局希望者が現在のところ1名しかいないという状況なんです。去年も2名でした。こういったことから、若手の医師が大学にいないということになりますと、今、応援してもらっている、この宿日直の応援が難しくなるということが考えられるんですね。そうすると、開業医側、病院側、両方とも救急体制の継続が困難になるおそれが非常に高いというふうに思っております。
当面、ちょっと課題というのはこんなところだと思います。よろしくお願いします。
質問:現状においても医師不足、これからの時代においては、さらに悪化してくる可能性もあるということで、非常に大変な状況であるということを認識させていただきました。そして、これから市民病院が持つ役割がこの先さらに増してくる、市民病院が今よりも一層なくてはならない存在になるというふうに認識をさせていただきました。
それで、もう一つ伺いたいんですけれども、市民の方からもっと需要のある診療科であったりを増やしていったら、言い方、悪いかもしれませんが、稼げるという話も聞くんです。例えば、今も皮膚科はあるんですけれども、近隣自治体の開業医のところには、ほかにはない分、患者が殺到しているそうなんです。そういった需要に対して、この地域で供給が足りていないようなものの拡充、そういったことは市民病院で今後、難しいのか、難しい場合、やはり医師確保の面で難しいのか、お聞かせいただけますでしょうか。
答:需要のある診療科ということですけれども、以前より産婦人科、小児科の要望が常に上がっておりましたけれども、皆さん御存じのように、分娩の減少と少子化というところから、なかなかここの整備をするというのは現実的ではないと思いますし、また、この産婦人科、小児科ドクターも確保するのは、もう本当に至難の業ということで、なかなかこれは実現するのは難しいと思います。
高齢化が進んでおりますので、一方で、実は、眼科の白内障の手術のニーズというのはやっぱり高止まりしているんですよね。現在、今、眼科は外来だけ週3回やっていただいていますけれども、実は、眼科の教授ともう約束を取り付けておりますけれども、新病院完成の暁には常勤医を出すというふうに確約をしていただきました。そういうことになりましたら、入院をして白内障手術ができると、安心して受けられるというようなことができると思います。
病院の収益にとって、外来が多くてもなかなかやっぱり黒字化しないんですね。入院診療というのがやっぱり基本になりますので、そういった意味で、私自身、この新病院の完成を心待ちにして、眼科の常勤医を迎えて、市民の皆様に手術を受けていただけるようになるものと期待しております。
質問:
いろいろと御意見ありがとうございました。病院の必要性など、よく理解できました。
ただ、やはり心配なのは財源の面です。
元利償還金の実質負担額が現時点の計算で毎年1億7,000万円程度が30年間にわたり必要になってくると。そして、建設費高騰でその額がまた上がるかもしれない、さらにほかの大型事業の財源も必要になってくる、現実問題として財源を確保し続けることが可能なのか、純粋な疑問としてあるんです。
それで、財政課に伺いたいんですけれども、令和6年度の決算で経常収支比率99.1%と示されました。経常的な収支以外は残り1%ほどになりますが、匝瑳市において、この1%は金額的には幾らに相当するでしょうか。
答:「財政課長」
本市におきましては、経常一般財源の総額が約100億円ということになっておりますので、経常収支比率における1%は約1億円に相当するものという状況でございます。
質問:
今まさに行財政改革、財政健全化に向けて動いているところだと思うんですけれども、現段階でといいますか、今のままだと、病院のことだけじゃなく、経常的なものではない何か新しいものに対しては、もちろん補助金とかもあるんですけれども、この1億円の中でやりくりしなければいけないという認識になるんでしょうか。一般的な考え方として、財政課長、教えていただけますでしょうか。
答:「財政課長」
経常収支比率だけが財政状況をはかるものではございませんので、いろいろ歳出制限等を行いながら、収入確保行いながら財源を捻出して、できる限りそういった大型事業にも対応できるよう、あと財源を確保しながら取り組んでいきたいというふうに考えております。
今まさに頑張っているところでありますので、よろしくお願いします。
今、世の中、物価が高騰して、その中でこういった大型事業をやっていくのは、ある意味ではチャレンジングなことだと思うんですね。場合によっては、財源確保のために、今やっている以上の行政サービスの抜本的な見直しですとか、削減も必要になってくるかもしれないので、そのときに、しっかりとした市民への説明、また賛同が必要になってくると思います。
匝瑳市に限らずなんですけれども、行政と市民の情報共有には、まだまだ課題があると思います。もちろん市民のほうも情報を取りに行かなければいけないんですけれども、より一層の情報共有を心がけていただきますよう、よろしくお願いします。