子ども施策を社会全体で総合的かつ強力に推進していくための包括的な基本法として、こども基本法が令和5年4月に施行されました。この法律の制定の背景には、子どもの権利条約が挙げられます。1994年に国連の子どもの権利条約に日本は批准したものの、子どもの権利が守られるべきと定める法律は整備されませんでした。
その後の日本では、いじめの重大事態件数、不登校の子どもの数、児童虐待事件数が過去最多を更新、10代の死因の最多は自殺、子どもの相対的貧困率は11.5%。ほかにも、諸外国と比べて、子どもの自己肯定感や幸福感の低さなど、子どもを取り巻く環境は厳しさを増し、子どもの権利が守られているとは言い難い状況が続きました。
こども基本法は、子どもの権利条約の4つの原則である差別の禁止、子どもの最善の利益、生命・生存及び発達に対する権利、子どもの意見の尊重の趣旨を踏まえて基本理念がつくられており、全ての子どもが将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指しています。
匝瑳市では、こども基本法に基づく施策や取組、または反映された考え方はあるでしょうか。また、意見表明権、子どもの意見の尊重に関して、学校現場でどういった取組があるのか伺います。
【回答】「市長」
本市におきましても、こども基本法の4つの原則の趣旨等を踏まえ、今年度から子育て支援推進課及びこども家庭センターを設置し、子ども家庭に対する支援を一体的に推進する体制を整えております。
こども家庭センターでは、妊娠期から子育て期まで切れ目のない幅広い子育て相談支援を行うとともに、児童虐待等を含む要保護、要支援世帯につきましては、匝瑳市要保護児童対策地域協議会におきまして、教育委員会や児童相談所などの関係機関と連携しながら、ケースごとに適切な支援方針を協議し、早期発見と支援につなげるよう努めております。
また、こども基本法の趣旨であります子どもの意見の尊重につきましても、こども家庭センターにおける日常的な相談や訪問を通じて、子どもや家庭の声をきめ細かく把握しているほか、学校や関係機関との情報共有により、子どもの状況を多面的に把握できる体制を整えております。さらに、寄せられた意見や相談内容等を、個別支援だけでなく子育て支援施策の充実につなげられるよう努めているところであります。
今後につきましても、こども基本法の理念を市の子育て支援施策に反映し、子どもが健やかに成長し、安心して暮らせるまちづくりを推進してまいります。
【回答】「教育長」
子どもの意見の尊重について、小学校・中学校での取組状況でございますが、市内小・中学校では、子どもの年齢及び発達の程度に応じて、教育活動の様々な場面において意見を表明する機会を設けており、教育的配慮の基、その意見が尊重されるよう取組を進めております。
例えば小学校では、学校生活をよりよくするための目標を学級ごとに話し合い、その意見を尊重して学校全体が目指すべき目標を決定したり、委員会活動の計画を自分たちで話し合い、合意した計画を基に活動を行ったりしております。また、中学校では、来年度から新しく使用される制服について生徒から意見を集め、その意見を尊重した制服としたり、生徒会活動で校則について話し合い、その意見を校則に反映させたりと、生徒の意見を尊重する取組がなされているほか、卒業後の進路の決定に当たっては、生徒との面談を通して、十分に生徒の希望を聞き取った上で、その意見を尊重した進路指導を行っております。
教育委員会といたしましても、一人一人を大切にし、誰一人取り残されない教育を推し進めるとともに、一人一人の思いに寄り添った指導を継続していけるよう、今後も各学校への支援、指導に努めてまいります。
【再質問】
1、こども基本法や子どもの権利条約の認知度がまだまだ低く、匝瑳市においても、特に内容については知らない市民も多いのではないかと感じています。まず、知ることが大事だと考えますが、認知してもらう取組はありますでしょうか?
【回答】「子育て支援推進課長」
こども基本法、それから子どもの権利条約の認知度につきましては、国の調査におきましても、内容まで知っていると回答した人が、大人であっても約2割程度にとどまるなど、全国的に必ずしも高くない状況であると承知しております。
議員御指摘のとおり、まずは市民に知ってもらうことが重要であると考えますが、現状、市として、これらの制度や理念を直接周知するという取組は、現在のところ実施してしていない状況でございます。
今後につきましては、市として取り組める周知方法につきまして、まずはホームページ等への掲載を含め、どのような形が可能であるか検討してまいりたいと考えております。
2、周知する際には、事務的にではなく、子どもに知ってもらうものですから、柔らかい感じの発信をお願いしたいと思います。全ては知ることから始まります。
それで、こども基本法では、自治体においてもこども計画の策定が努力義務とされています。匝瑳市では、子ども・子育て支援事業計画がありますが、こども基本法との関連はありますでしょうか?
【回答】「子育て支援推進課長」
市では、昨年度末に第3次匝瑳市子ども・子育て支援事業計画を策定し、当該計画に基づき、各種政策を推進しているところであります。
議員御指摘のこども基本法との直接的な反映につきましては、現行計画には位置づけておりませんが、計画策定に当たり開催しております子ども・子育て会議におきましては、国のこども大綱や県のこども計画との整合を確保することを計画策定の重要な視点として検討してまいりました。これらの上位計画等の理念や方向性を踏まえつつ、本市として必要な施策を盛り込んだものが、現在の子ども・子育て支援事業計画となっております。
今後につきましても、こども基本法の趣旨を十分に踏まえながら、こども計画を含む次期計画の検討や策定の推進に努めてまいります。
3、私、子どもの意見の尊重に着目しておりまして、子どもや子育て当事者の意見を政策に反映させることなどが定められています。意見を聞いて政策に反映することの意義に、子どもや若者の状況やニーズをより的確に踏まえることができ、施策はより実効性のあるものになると書かれています。
これまでもアンケートなど、当事者の意見を聞くことは取り組んできたと認識していますが、今後、大事な施策の策定時には、直接子どもの意見を聞く場を設けることも大事だと考えますが、見解を伺います。
【回答】「子育て支援推進課長」
こども基本法におきましては、子どもや子育て当事者の意見を施策の立案や実施に適切に反映していくことが基本理念として示されております。
議員御指摘のとおり、今後、重要な子育て施策を策定していく際には、子ども自身の意見をどのように把握し、反映していくかが大変重要であると認識しております。一方で、子どもの年齢や発達段階に応じ、どのような方法で意見を聞くことが適切であるのか、また、安全性や負担にも配慮しながら、どのような場を設けることが望ましいのかにつきましては、現時点では市としての方向性は定めておりません。
今後は、他団体の取組状況等を参考にしながら、子どもが安心して意見を表明できる仕組みづくりについて検討してまいりたいと考えております。
4、年齢に応じて言える範囲は違いますが、きっと意見は持っています。小さなことでもいいんです。何か自分や自分たちで考えて、意見が反映された経験を通して、自分も社会の一員なんだという実感を持つきっかけになると思いますので、権利の主体ですから、子どもの社会参画を促していただきたいと思います。木更津市は行政の取組でも非常に子どもの存在を感じますので、ぜひ参考にしていただきたいと思います。
それで、学校での取組について質問いたします。
現在、既に活発な取組がされていると認識いたしました。こども基本法のこども大綱の中で、意見表明、社会に参画する上でも欠かせない意見形成の支援を進め、意見を表明しやすい環境づくりを行う、困難な状況に置かれた子ども・若者や様々な状況にあって、声を聞かれにくい子どもや若者等について十分な配慮を行うとあります。
自分の意見を言うことに関して、人によって得意不得意があると思いますし、意見を言いづらい困難な状況にある子もいるかと思います。そういった人も意見を言いやすくなる工夫、環境づくりなど心がけていることがありましたらお聞かせください。
【回答】「学校教育課長」
従前から学校では、全ての子どもたちが意見を示せるよう、日々の教育活動の中で様々な工夫をしております。例えば、違いを認め合える文化、自己肯定感の高揚、自分はどうするかを決定する機会、こういったものを持ち、異なる意見を認め合える学級の雰囲気の醸成を行っております。
また、意見を述べる場面を各教科の授業、学級活動、短学活でのスピーチなど、意図的に設定し、意見を述べることに慣れさせる活動、また、ノートやワークシート、付箋等を活用し、考えをまとめる時間を確保し、意見を書かせてから安心して発表させる活動、選択式で答えやすくするなど聞き方を工夫する活動、また、ペアでの話合いや少人数グループでの話合いにより、全員が安心して意見を述べる機会を確保する活動、最近ですが、1人1台タブレットを用いた意見交換や意見集約、状況により匿名・記名の使い分けを行う活動など、先生方の創意工夫により、児童生徒の実態に応じた様々な取組を日々行っております。
5、
今行われている中教審の議論の中でも、学校の中での意見表明、合意形成参画の機会を充実させていく必要性が取り上げられています。私は日本は対話を通じた合意形成をさせる文化が乏しかったと感じております。こども大綱の意義にこうあります。子どもや若者にとって自らの意見が十分に聴かれ、自らによって社会に何らかの影響を与える変化をもたらす経験は、自己肯定感や自己有用感、社会の一員としての主体性を高めることにつながる。ひいては、民主主義の担い手の育成に資すると。民主主義の担い手を育てていくためにも、意見表明、対話による合意形成、意見の反映のより一層の充実が必要かと考えますが、見解を伺います。
【回答】「学校教育課長」
議員御指摘のとおり、民主主義の担い手を育てるためには、子どもたちが意見を表明し、対話を通じて合意形成を経験し、その意見が学校生活や社会に反映されることが重要と考えます。
中教審やこども大綱でも示されているように、こうした経験は、自己肯定感や主体性を高め、社会の一員としての意識を育むことができると認識しております。学校現場では、対話を通じた合意形成の経験を重視し、授業での話合い活動や学級会、生徒会活動を充実させ、子どもたちが安心して意見を述べられる環境を整えることが一層求められております。
今後も、意見表明、合意形成、参画の機会を日常的に保障し、民主主義社会を支える人材育成につなげていくことが必要であると考えます。
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今のこの社会の中で学校の取組、私非常に楽しみにしています。私も自分の手の届く範囲で一生懸命やりたいと考えています。