【再質問】
問1:学校風土をつくる要素として、地域の関わりもあると思います。その1つの流れがコミュニティスクールだと認識しています。
今、市内では2校、まずコミュニティスクールを実施しているところだと思いますが、よその事例で、コミュニティスクールの意義が浸透しておらず、ただただ地域の行事を増やしたり井戸端会議で終わったり、持て余しているという、なんてことも聞くんですけれども、市内の2校の状況としてはどんな感じでしょうか。
答:市内でコミュニティスクールを実施している2校では、年間複数回開催している学校運営協議会において、学校運営の基本方針についての提案や承認、学校運営への評価や改善策に向けた話合いを行っております。
また、その中では、児童生徒の学習面や生活面、長欠児童への対応や異学年交流の状況、施設面、安全面についての意見交換がなされるなど活発な話合いが行われており、議員が御心配されるような状況にはないものと認識しております。
問2:匝瑳市ではコミュニティスクールが、とても有意義なものになっていてうれしく思います。
それで、急激に増加する不登校児童数、この問題に対して、私が考える対策が大きく分けて2つあります。1つ目は、前半で申し上げたような学びの構造転換、そしてもう一つは、学びの選択肢をつくるです。
欧米には不登校という概念自体がないと言われています。それはプロジェクト型学習など、子どもたちの関心に沿った学びであるというのも私は大きいと思っているんですけれども、オルタナティブスクールやフリースクールやホームスクーリングもしっかりと認められていて、そこにちゃんとお金の面でも保障されているからなんです。
ですが、日本は学びの選択肢がまだまだありません。私立があっても、経済面で余裕がないと結局通えない。地方へ行くとそもそも選択肢がない。このあたりも同様です。
そこで一つ提案したいのは、イエナプラン教育校の設置です。
学校の設置は大きなことですので、もちろん新たに建てるという話ではなく、しかるべきタイミングで移行するという意味です。
このイエナプランというのは、ドイツ生まれオランダ育ちと言われる教育方法で、日本の各地で今注目が集まっています。特徴的なのが3つ。
まず1つ目が異年齢学級です。イエナプランは、共生社会を目指しているので、異年齢が混ざり合うことで、それぞれの立場で役割を担うことになりますし、日本の教育の問題点であった同質性の高さの解消になります。
2つ目が、ブロックアワーという自由進度学習の時間。自由進度学習については、先ほど述べたとおりです。
そして3つ目が、教科横断型学習、これは探求型学習みたいなものです。学習指導要領のカリキュラムマネジメントに書かれている教科等横断的な教育内容にもつながるんじゃないかと思います。
お気づきかもしれませんが、イエナプラン教育っていうのは、今、日本の教育が向かおうとしている要素ばかりなんです。実は日本の寺子屋の姿だともよく表現されます。何よりイエナプランの学校に通う子どもの自己肯定感がとても高いんです。
日本の教育は、これからおおむねそういう方向に向かおうとしていますが、頑張ったとしても時間がかかる。それならば、いきなり突き抜けた学校を一つつくるという発想です。学びの選択肢として、この先、イエナプラン教育校を匝瑳市に設置するというのはいかがでしょうか。
答:日本イエナプラン教育協会が認定する公立学校は全国で1校あり、そのほかに数校をイエナプラン教育の理念を取り入れた公立学校があると承知はしております。
日本におけるイエナプラン教育の実践例は非常に限られており、現時点においては、教育効果が図れていないものと認識しております。
市内にイエナプラン教育を行う学校を設置することについて、市教育委員会として、これまで検討したことはございませんし、今後検討する計画は現時点ではございません。
問3: 数少ない日本のイエナプラン取り入れているところは、海外に視察に行ったりしているんです。日本初のイエナプラン認定校として開校した大日向小学校がある長野県の佐久穂町は、移住者が増えて町が活性化しているそうなんです。そういう視点も頭に入れてほしいと思います。
それで、似たような提案になるんですけれども、学びの多様化学校の設置はいかがでしょうか。学びの多様化学校、いわゆる不登校特例校です。現在全国で35校、文科省は今後300校に増やすとしています。
私少し前に、仙台にある学びの多様化学校、ろりぽっぷ小学校を視察してきたんですけれども、こちらもイエナプラン教育を取り入れています。いろいろと、教室と廊下を隔てる壁もなくて、校長室ですとか職員室、全てがもう出入りしやすく、とても明るく、居心地のよさをすごく感じました。
それで、壁に子どもたちや保護者の声が貼られていて、私、ちょっとふと目にとまったんですけれども、そこにこう書かれていました。行きたくないからいけない。行けないから学べない。学ぶ機会は行きたい学校から。みんな不登校になった。在籍校には行けなかった。でも、本当は学びたいんですよね。みんなに会いたいし学校に行きたい。今こそ教育は変わらなければいけないし、選択肢をつくらなければいけない。私はそう思うんです。学びの多様化学校を設置するというのはどうでしょうか。
答:学びの多様化学校の設置につきましては、現時点では検討したことはございません。
不登校の要因は多様化しており、児童生徒一人一人の状況やニーズに応じた対応を行っていくことが、まずは大切であると認識しております。
市教育委員会といたしましては、今後も未然防止に向けた取組として、良好な学校風土の醸成に向けた支援や、市内に配置しているスクールカウンセラー等の人材の有効活用を進めていくとともに、不登校児童生徒の学びの場としての選択肢を増やす取組として、市適応支援教室さわやかルームや各中学校に設置している校内教育支援センターの充実、オンライン授業の活用促進を行うなど、不登校対策に注力してまいります。
問4:対症療法的な考え方では対応し切れないと思いますので、やはりまず学びの構造転換をしていただき、それでも合わない子どもには、学びの選択肢をしっかりとつくっていってほしいと思います。
学校を設置する。財政面でもとてもとても今の状況では無理な話です。ならば、広域連携で学校をつくる。しかも、普通でいったら枠組みがあると思うんですけれども、今、空港の流れもあります。山武郡市、香取郡市と力を合わせて学校をつくるということも、私はありなんじゃないかと思いますので、ぜひ少しでも可能性があることは、頭に入れて取り組んでいただきますようよろしくお願いいたします。
34万人の今、不登校児童数がいるんですけれども、それはつまり、ある意味では34人のクラスが1万クラス空いているとも言えます。その行き届いてないお金を一人一人に流してあげたら、私はどれだけいいんだろうなと思うんです。
本日、学びの構造転換、ルールメイキング、学びの選択肢など取り上げましたが、最後に二村教育長、教育長に、一つの節目の年になりますけれども、今、教育は新しい時代を迎えています。と同時に、課題もたくさんある。今日のことに触れても触れなくてもいいんです。これからの教育について、思いを最後に聞かせていただければと思うんですけれども、お願いできますでしょうか。
答(教育長):突然のことなんで準備できておりませんけれども、私が思うのは、とにかく子どもたちが、この学校へ行って学んでよかった、親はこの学校に通わせてよかった、職員は、この学校に勤務できてよかったと、そういった満足感を得ていただけるような、そういった場の設定のために、我々教育委員会は現場の応援団でありたいと、こういったことを私は日頃から様々な場面で申しております。
突然ですが、熱い思いを語っていただきましてありがとうございました。
私は不登校になったときには、学び続ける意味が見いだせなかった、毎日が同じようなことの繰り返しで、まるでベルトコンベヤーに載せられている大量生産の工場のように感じられて大変な思いをしたんですけれども、ですが時代は変わりました。文科省は指針を示してくれています。課題はありますが希望もあります。あとは、今の子どもたちのために思いを、どれだけ思いを持ってやるかだと思うんです。
誰かに任せるのではなく、みんなで動かしていく、ただ、決定的なことに関しては、私としてはお願いをすることしかできません。ぜひ、できる立場の人が、前へ進めていただくことを願いまして、私の一般質問を終わりにしたいと思います。