6月一般質問② 子どもの選択肢「非認知能力向上の取り組み〜テスト、宿題、通知表」

ノーベル経済学賞受賞者のジェームズ・J・ヘックマンが提唱したのをきっかけに、今、「非認知能力」が重要視されています。

テストなどで数値化する「認知能力」とは対照に、「非認知能力」とは主体性、対応力、創造性、コミュニケーション能力などのことを言います。

文部科学省も新学習指導要領の中で、学びに向かう力や人間性、思考力、表現力を重要視しています。

さらに、スタンフォード大学が、10歳の子どもの学習に関して、20年にわたる調査をしました。

点数や結果を褒めるグループと取り組む姿勢を褒めるグループとを比較したところ、長期的に見ると大きな差が!

点数を褒めたグループの傾向として、困難にぶつかった時に諦めてしまう

努力を無意味に思うなど、学ぶことが長続きしない、という結果になりました。

一方、取り組む姿勢を褒めたグループの傾向は、困難にも立ち向かう

批判からも学ぶなど、自ら積極的に学ぼうとする姿勢が定着していました。

「もっと知りたい!」という探究心を育めば、大人が「勉強しろ!」と言わなくても自ら勉強するようになります。

その有名なところが、魚博士のさかなクンや、将棋の藤井聡太さんなのではないかと思います。

子どもの可能性を伸ばし、探究心を育むことで、才能を開花させるスペシャリストやイノベーションを起こす人材が生まれてくるのではないかと思います。

これからAIの時代になり、より人間的な能力が求められてきます。

Q、取り組む姿勢を評価する方針、非認知能力の向上のための教育が必要だと考えるが、どのように取り組まれているのか?

また、期末テストのような形式では、詰め込み学習になりがちであったり、苦手分野が分かりづらいなどの問題も指摘されているところであるが、単元テストに切り替えるなど、テストの在り方について検討はなされているのか?

能力の違いに関係なく出される全員同じ宿題や、子どもを通知表で評価する必要性はあるのでしょうか?

A、学習指導要領の中にある主体的に学習に取り組む態度も含めた学びに向かう力に関わる教育活動として、具体的には、
・千葉県教育委員会の「思考し、表現する力」を高める実践モデルプログラムを活用した授業や体験を取り入れた授業の実践。
・友達や教師との対話やグループの中での対話により興味・関心を広げる学習
・児童生徒、教職員や地域の方等との関わり合いの中でのコミュニケーション能力の育成。
・教育活動全体で行う道徳教育を通して、道徳性や道徳的価値について考える学習、などがある。
  定期テストでは、詰め込みの学習にならないよう問題を工夫している。また、単元テストや小テストも適宜実施している。他にも評価方法として、ノートやレポート等における記述、児童生徒による自己評価や相互評価、パフォーマンステスト等取り入れている。
  宿題については、同じ内容でも個に応じた学習量にする。あるいは、学習する内容を自分で決めて行うものにするなど、自ら進んで取り組めるよう工夫されている。
通知表は、数値化による評価と記述による評価をし、良いところを認め励みとなるよう作成することで、児童生徒一人一人が学校生活における次の長期目標を設定するための一助となっている。また、全ての保護者が子供の学習状況や活動の様子を知る手立ての一つとなっている。

Q、夏休みの宿題についても同じような考え方か?

A、長期の休みで学習した基礎的内容を忘れないために、さらに確実な定着を図るために、必要な課題については共通して課されることはある。作品展やコンクールなどは、児童生徒が選択をして希望により、取り組むようにするなど、自ら進んで学習に取り組めるよう工夫をしている。

⇨世界では宿題を禁止している国があったり、日本でも宿題をなくす、という議論も交わされたりしています。家庭で学習するかは家庭の責任ですから、そんな選択肢があってもいいのではないかと私は考えます。

「夢みる小学校」https://www.dreaming-school.com/

「夢みる校長先生」https://dreaming-teacher.jp/

というドキュメンタリー映画が全国的に話題になっています。映画では、いくつかの学校を取り上げていて、

校則がない、通知表がない、定期テストがない、宿題がない、さらに言えば授業のチャイムを鳴らさないとか、そんな取り組みをされている学校が映し出されています。校則や宿題がなくて、荒れたり、学力が落ちるのではないかと懸念されると思いますが、その真逆で、主体的に学び、自ら時間を見て行動しています。

この映画に登場する「きのくに子どもの村学園」や「長野県の伊那小学校」では体験型学習を大事にしていて、

この学校に通う子どもたちは、探究心が凄く、自ら学び、自分で考えています。自分の意見をしっかり持っていて、積極的に質問したり、意見を交わす姿が映し出されています。

体験によって、「なんでだろー?」という好奇心や「もっと知りたい!」という探究心が生まれるわけです。

Q、体験型学習はとても大事だと思うのですが、匝瑳市ではどのように取り組まれているか?

A、小学校では、1・2年生の生活科で身近な人々、社会及び自然と関わる体験学習を行う。例えば、季節に応じた植物の栽培や木の実等を利用した工作、地域の場所や働いている人を知る町を探検する活動がある。

3年生以上では、総合的な学習の時間や社会、理科の授業の中で体験を伴う学習を行う。例えば、田植えや稲刈り、落花生やツルレイシ等の植物の栽培、車いす体験、他校や異校種の児童生徒との交流会などの活動がある。さらに、5年生では宿泊体験学習も行っている。中学校では、社会体験学習(職業体験)、福祉体験学習を行っている。

この映画を観た大人たちは「学校って、こんな楽しい場所だったんだ」「自分もこんな学校に通いたかった!」と涙を流します。

教育移住という言葉があるように、学校のためにわざわざ引っ越す家庭もあるくらい、教育には人を惹きつける力があります。

この近隣地域でも、こんな学校に子どもを通わせたい!と思っている親は結構います。

でも肝心の、そういう学校がなくて、みんな悩んでいます。

画一的な学校では、人口減と共に廃校が相次ぎ、やがてみんな大きな学校に統一され、少しずつ地域が衰退していくわけです。

Q、子どもの体験学習をもっと大事にしてくれる学校だったり、もしくは、校則や宿題、通知表がない、とか、そんな学校を、匝瑳に作りませんか?

面白い学校を作れば、引っ越してでも自分の子どもを通わせたい!と思う親はいます。

匝瑳には生徒が少なく、廃校が危ぶまれている小学校があります。

このまま将来、順番に廃校になっていくなら、面白い学校を、匝瑳に作りませんか?

A、「廃校」という仮定の話で議論をするのは難しい。引き続き、各学校の歴史と伝統の中で培われた校風を大切にしながら地域の実情に応じた創意工夫の中で、各校の学校経営がなされていくものと考える。

⇨是非、考え続けて欲しいのです、匝瑳市の在り方を。

周辺自治体のように子育て支援策にバーーンとお金出すのは、匝瑳市は財源的に難しい。観光資源やお店は多いわけではない。

でも、匝瑳市は福祉のさまざまなサポートが厚かったりします。

教育についても現在もいろんな取り組みがされていますが、この自然豊かな場所の特性をもっと活かした教育の充実。

もっとそういうことに特化していけば、都会からも移り住んでくる家庭は出てきます!

現にそういう学校がある場所は移住者が増えています。学校見学ツアーが組まれている所もあります。匝瑳市も可能性がある内にあらゆる角度から考えて欲しいと願います。

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