【登壇質問】
年々、夏の暑さが厳しくなっています。暑さによる熱中症は命に関わることもあります。学校環境衛生基準で、教室の温度は18度以上28度以下であることが望ましいとされています。教室の室温の測定はどのように行われているでしょうか。望ましいとされている18度以上28度以下は保たれているでしょうか。
また、今断熱の重要性に注目が集まっています。断熱のない建物は外気温に大きく左右され、夏においては暑くなる部屋をエアコンによって常に冷やし続けなければならず、冬もまた同様です。断熱がなく冷暖房機器を使い続ける状態は、穴の空いたバケツに水を注いでいるようなものと例えられるようにエネルギー効率としては非常に悪いです。
今まで日本には断熱に関する義務はありませんでしたが、2025年、来年度の4月からは新しく建てられる全ての建物に断熱等級4以上、2030年からは断熱等級5以上が義務化されます。ちなみに、断熱等級4は今まで日本の最高等級であり、来年度からは最低等級になるわけですが、断熱が進んでいるドイツ、イギリス、イタリア、韓国では、断熱等級4では基準を満たさない違法建築になるほど日本の断熱はまだまだ遅れを取っています。
また、熱が一番逃げるとされているのが窓になりますが、日本では当たり前のアルミサッシは樹脂製や木製に比べ1,200倍の熱伝導率となっており、海外ではあまり使われておりません。冬に窓が冷えることで起こる結露もカビやアレルギーの原因となり、人の健康を害するという考えの下、ルールの厳しいドイツでは結露が起こるのは誤った設計とされているほどです。
既存の学校は断熱の義務化の対象ではありませんが、文科省が学校施設のZEB化の手引きを作成しているように、エネルギーの効率化や子どもたちの学習環境を整えるため断熱が必要ではないでしょうか。現在、断熱を施している市内の小・中学校、幼稚園はあるでしょうか。なければ断熱改修の検討をしてはいかがでしょうか。
そして、もし改修に多額の費用が必要な場合、ワークショップ形式にして費用を抑えるのはいかがでしょうか。地域の工務店の指導の下、子どもたち自らが断熱改修をする断熱改修ワークショップの開催です。断熱改修ワークショップは全国で盛り上がってきており、生徒自らが行うことでビフォアーアフターの違いを主体性を持って感じることができ、環境学習にもなると好評です。地球規模の問題に対して生徒自らの力で問題解決する、文科省の掲げる「生きる力 学びの、その先へ」とも方向性が一致するのではないかと考えます。このままエネルギー効率の悪い建物のままエネルギー消費によって消えてなくなるものにお金を払い続けるのか、それとも未来への投資か、環境学習とつなげて断熱ワークショップをまずは一例からでも取り組んでみてはいかがでしょうか。
【回答】教育長:
初めに、学習環境と省エネについてのお尋ねでございますが、本市におきましては、冷暖房を適切に使用するために匝瑳市学校空調運用指針を作成しております。
議員お尋ねの教室の室温環境についてでありますが、本指針に従い、各教室で温度測定を随時行っております。室温環境によっては冷暖房を適宜使用し、文部科学省の示す学校環境衛生基準による望ましい室温である18度以上28度以下に保つようにしており、児童生徒が快適な環境で学習や諸活動に取り組めるよう努めております。
また、学校の断熱についてでありますが、ほとんどの学校が40年前から50年前に建設されているため、ほぼ施行されていない状況でございます。断熱改修についてはエコの観点からも重要であると認識しておりますが、予算の効率的な執行という観点から、文部科学省の学校施設のZEB化の手引きで推奨している大規模改修、改築、建て替え等の際に合わせて施行するという事例を参考に調査・研究してまいりたいと考えております。
なお、議員から御提案いただきましたワークショップ形式による教室の断熱化の取組につきましては、今後先進事例について調査・研究をしてまいりたいと考えております。
【質問】
1、断熱のことなんですが、寒冷地では当たり前の断熱ですが、関東では重要視されておりません。そういうこともあって、冬のヒートショック死は、栃木県、茨城県がワーストワン・ツーになっております。
皆さんもよく御存じではありますが、北海道ではペアガラス、二重窓が当たり前です。今はさらにトリプルガラスというものが出てきて、エコハウスと呼ばれる住宅では取り入れられているんですけれども、これは外気温の影響を受けにくくてびっくりするくらい効果があるそうなんです。そして、日射、太陽の光によって熱が入ってくるわけなんですが、冬だったら日射とともに入ってきた熱を逃がさない、夏は日射を入れないということで、室内で日射を遮るカーテンやブラインダーより外で遮ったほうが断然いいんですね。
それで、学校などで目にするアサガオなどのグリーンカーテン、実は「大正解!」なわけなんですが、基本的に市内の小・中学校、幼稚園では夏はグリーンカーテンに取り組んでいると認識してよろしいでしょうか?
【回答】
全ての学校で取り組んでいるわけではありません。市内5校の小学校では取り組んでおります。
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エネルギー効率のためにもグリーンカーテンいいと思いますので、もし何か事情がなければ市内全体に広げていただくよう願っております。
それで、断熱の話と先ほどのゼロカーボン、再生エネルギーの普及の話がつながってくるんですが、資源エネルギー庁によると、日本のエネルギー自給率は2022年の時点で12.6%となっております。再生可能エネルギーで電力を賄うのは無理だと言われておりますが、建築物におけるエネルギー消費は日本全体の3割を占めていると言われております。断熱が進めば消費電力が大幅に少なくなり、必要な電力の全体量も少なくなりますので、再生エネルギーの割合もおのずと高くなってきます。
ドイツがまさにそういった考えの下、断熱をしっかりして消費電力を減らす、エネルギーの依存を減らすことを政策としてやってきました。断熱に力を入れ始める前と今とでは、断熱の暖房に係る消費エネルギーが10分の1以下になっているそうです。高い断熱基準の6とか7のエコハウスだと、夏でも冬でもエアコンほとんど要らなくなるそうです。エネルギーの効率化をすることで、我慢の省エネではなく快適な省エネが可能となりますので、今後、匝瑳市でも学校施設のみならず、市内全体で広がっていくことを期待しております。